既製靴の市場はこれでいいのだろうか、お客様のニーズに応えるとはどういうことか、店の側は受け身でいいのだろうか、そういう疑間をもちながら、私は私のやり方でいくしかありません。
お客様の靴選びを手助けするために、シューフィッターと呼ばれる販売員を置いている店が増えています。
これは経験と知識によって、「足と靴と健康協議会」から与えられる資格で、「シューフィッターのいる店」といった表示をしている店もあります。
私もそのシューフィッターの一人です。
靴を販売する側が、お客様のニーズに応えようと始めたものですから、店を選ぶ場合、これを目安にするのも一つの方法です。
一方、小売店にとっては、既製靴を来宿されるお客様の千差万別の足の個性に合わせるには、その在庫だけでもたいへんなことです。
靴のサイズは以前にくらべ、足長、足囲ともかなり多様になってきました。
一つのデザインの靴について、すべてのサイズを店に置くようにして、デザイン豊富な品揃えをしようとすると、在庫が膨大になることは、どなたにもおわかりいただけると思います。
そこで店では、サイズは少なくても売れるデザインの靴を絞って置く傾向もでてきます。
シューフイッターを置いている店は、そうしたなかで、なんとかお客様のニーズに応えようとしているのです。
靴選びの専門家として、来店されたお客様の足を採寸したり、足の状態を見たり、好みのデザインを聞いたりして、自分のもっている知識と経験を生かして、在庫の中から足にフィットした靴を選ぶ努力をするわけです。
しかし、先のような限界がありますから、なかには合わない靴を買わされたといったクレームも出てきます。
こうした試行錯誤のなかで、「シューフィッターのいる店」の看板をおろす店もあったようです。
十二年間、お客様の靴合わせの仕事にかかわってきて私が感じることは、この既成靴を個性豊かな足に合わせることのむずかしさです。
実際、「帯に短し、たすきに長し」の連続でした。
同時に、日本の靴が実際の足を十分に考えて作られてこなかった事実についても考えきせられました。
そう思うと、シューフィッターを置くという姿勢は間違っていないと思うのです。
これまで靴業界は、メーカー→問屋→小売店→消費者という流通形態でしたが、この連携を再考して、消費者ニーズが作り子に伝わりにくかった現状を変えるためにも、シューフィッターの試みは、近い将来生きてくると思います。
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